最終話「さらなる飛躍へ!」

 第8話までは鉄道部門の歴史を中心に紹介したが、この最終話では鉄道以外の部門についても紹介したい。

 三岐鉄道では、三岐線・北勢線の運輸営業以外にも、三重県北勢地方を主な事業区域として、乗合バス・貸切バス・旅行業・レストラン業・商事部門・石油販売業・不動産業など、多岐にわたる事業を行っている。

 第4話でも紹介したバス部門については、モータリゼーションの進展に伴い徐々に苦戦を強いられるようになったが、乗合バス事業は、地域の物流動向や旅客需要に合わせた弾力的な路線運行により活路を見出し、1988(昭和63)年6月の四日市大学線新設や、地元自治体のコミュニティバスの委託運行などを手掛け、現在も地域に密着した路線運行を行っている。また、1990(平成2)年頃までは順調に推移してきた貸切バス事業は、バブル経済崩壊後は業界全体で伸び悩みが続く中で、企業通勤バスなどの契約輸送バス受注やきめ細かいツアーバス運行等の実施に加え、観光バス車両の車種・デザインの充実に努め、業績を確保している。

 また、鉄道・バス以外の事業部門については、1975(昭和50)年10月に開始した東名阪道下り線御在所サービスエリアでのレストラン営業が会社の牽引力となった。2010(平成22)年9月に「EXPASA御在所」としてリニューアルオープン。2015(平成27)年4月に東名高速道路下り線豊田上郷サービスエリアで営業展開を行うなど活発な事業を展開している。

 一方、鉄道部門においては、第8話で紹介した北勢線の様々なリニューアル事業に加えて、三岐線においても、2008(平成20)年11月に近鉄富田駅西口駅舎を新築し、翌2009(平成21)年1月には車椅子スペース設置他バリアフリー対応の新型電車(751系3両編成)を運行開始。2021(令和3)年2月には暁学園前駅のバリアフリー化を実施するなど、設備の拡充やサービス向上を推し進めている。

 なお、開業90周年を迎えた本年度は、昭和27年より使用してきた本社ビルの老朽化が著しく、安全対策が必要となったことから、新本社に建て替えが行われ、竣工した。

 90年の歳月を地域とともに歩み続けてきた三岐鉄道は、さらなる飛躍を目指して今日も歩み続けている。

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